2018-19年に読売新聞の読書委員を務めました。委員は2週間に一回、読売新聞社の大きな会議室に集まり、大机に並んだ本の山を手さぐりながら、議論のすえ選書していました。専門外の本はその分野の方に感想を聞いたり、小説の書評は小説家の先生に書き方を教えてもらったりと、濃密かつ楽しい時間を過ごしました。本を読みながらご飯を食べても怒られない(というか皆そうしている)得がたい空間でした。
そのうえで、書評はこれまで関わった仕事のなかで一番大変でした。他の仕事は失敗しても(まあ)自己責任ですが、書評は他人様の本(しかも傑作)が相手だからです。なので毎回、必死の思いで書きましたし、神経を使いました。着任時に一瞬あった「高位の文化人ポジション」みたいな気持ちは、すぐさま「すみません、すみません、こんな書評で著者に失礼ではないでしょうか」とビクビクしたものに変わりました。そのぶん、書評した本が重版されたり賞を取ったりすると、大喜びしていました。たぶん著者と編集者さんの次くらいには喜んでいたと思います。
ところで「書評を書く技術」というのは、おそらく書評を書く以外にはあまり使いようのない、かなり特殊なスキルです。2年間かけてこのスキルに習熟したので、またどこかで使いたいと思っています。
読売新聞
日本経済新聞
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